ルックバック。あの時の意味を問い直す。

映画というよりも半生。
やまだくにあき 2024.08.09
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ルックバック。濃密な58分。タイトルの通り、終始背中を見せ続け、かつ、あの時のあの行動の意味を再び問い直す。

作中、藤野が自分の技量と京本の技量を比べて悔しさから描き方に関する本を買ってその通り練習していくシーンがある。本棚に並ぶ本は初め1冊だけ。その1冊をやりきり、次の本に。そしてまた次の本に。本棚はいつしか描き方に関する本で埋まる。ネットに載ってる情報も参考に。壁に貼る付箋は増えていく。とにかく描け!真理だけど一番難しい。他にも秀でたものがたくさんある人間が、一つことだけに、それ以外のことを削ぎ落としていく。それはある意味では幸せな生き方とは真逆な行動なのかもしれない。だから美しい。

今でこそ弁護士崩れなんて言われてたりして、資格に捉われない生き方ー!みたいな感じですが、だからといって簡単に弁護士になれたわけではありません。二十三歳まで全く法律を学んで来なかったので、大学院で必死に勉強しました。周りはなんかやたらできる人ばかりだったし、勉強の方法はわからないし、全体像も見えない。いつかわかるようになるのかな?と思いながら授業を受けても何も手元に残らない状態で日々を過ごす。苦しい。ほんとに暗闇ってこんな感じ?って思いながらやってました。

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